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右に左に、上に下に、人の立体的な動きがくっきりと見える。
まるでジャック・タチの映画のワンシーンのようなユーモラスさ。
その登場の仕方に意表をつかれた。
井の頭の家では、両親と息子夫婦と祖母の五人と猫三匹が暮らす。
まず二階の息子夫妻のスペースを見た。
くの字に曲がった大きなワンルーム。
そこを家具によって、ゆるやかに分節する。
北側は閉じ、M側は開く。
西端には落ち着くSOHO、東端には将来の生活の変化に対応できるよう予備室を配している。
当日は快晴だったこともあり、屋根の段差を利用した開口部からは青い空が見え、こまやかな色彩の計画は室内に変化を与える。
中央のリビング・ダイニングにて、息子夫妻から、設計を依頼した経緯を聞く。
最初は、息子が一般誌の住宅特集で、一○○○万円で住宅をつくるY下が紹介されているのを読んで、興味をもったらしい。
シンプルなデザインが気に入り、事務所を訪問。
それから彼の作品のオープンハウスに幾度か足を運ぶことになる。
Y下は固定したデザインを繰り返すのではなく、状況に応じて、そのつど戦略を組み立てていくタイプの建築家だと思われるが、今回は施主の家族が仲のいいことを感じ、作品のテーマにしている。
設計を進める途中で、家族とワークショップを行ったという。
その結果、各自が必要とする機能やボリュームが明らかになり、住宅の構成がおおむね決定した。
一階の親世帯のスペースは、二階と同様、くの字になっており、中庭を囲む。
一階の祖母の個室の位置は、建て替える前の住宅と同じであり、場所の記憶を継承している。
ここに長く住む祖母の近隣のコミュニティとの関係を不用意に変えてしまわないためだ。
と同時に、いったん外に出ていた息子が夫妻で、ここに戻って一緒に住むことで新しい生活が始まる。
三世代をつなぐ場となるのが、中庭である。
親と息子の世帯は、くの字に折れ曲がることで、祖母の空間師と向きあう。
テーフスを歩く息子夫婦は、自ずと両親と荊祖母の視界に入るだろう。
また共有スペースを本体か立体的な空間構成が強調されている。
帰り際に、もう一度、スキップテラスに立って、周囲を見渡した。
ここは本当に不思議な場所である。
隣や斜向かいにアパート、M側に小学校。
いずれも屋外階段がある。
それらが井の頭の家の外部階段と共鳴しあい、この地域となじんでいるのだ。
最初に息子夫妻が屋外を降りてくるときに感じた面白さは、住宅にアパート的なものが入っていたから切り離し、Mに置くことよって、中庭を適度に囲みつつ、外部との接点も確保している。
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